- 学びごと
- 2021.12.14
「デザインのデザイン」を読んで
こんにちは。デザイナーの志村です。
今年も残すところ半月ほどになりました。
歳を重ねるごとに一年の経つスピードが早すぎて、60歳になる頃には寝て起きたら一年経った感覚になっていないか心配です。
今年はワクチン接種があり、会食も緩和されて少し明るいニュースが増えてきたように思います。
来年は今年よりさらに明るい日本になっていますように!
さて、本題に入ります。
11月のお題の本は吉田さんにお借りした「デザインのデザイン」を読みました。吉田さん、ありがとうございます!
著者は、デザイナーなら知らない人はいないんじゃないのではないでしょうか。
グラフィックデザイナーの原研哉さんが書かれた本です。
原研哉さんのプロフィール
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科1958年生まれ。グラフィックデザイナー。日本デザインセンター代表取締役社長。武蔵野美術大学教授。
長野オリンピック開・閉会式プログラム、EXPO2005愛知公式ポスター、AGF「MAXIM」、松屋銀座リニューアル、無印良品アートディレクション、森ビルVI、NTT「らくらくホンベーシック」などのデザインを行うグラフィックデザイナー。
本の内容は、デザインの歴史から始まり、原さんが今まで担当してこられたプロジェクトのプロセス・思考について書かれています。
正直、私には難しい内容が多かったというのが正直な感想ですが、原さんのデザインに対する考えはとても勉強になりました。
今回は「デザインのデザイン」の文章を一部引用しながら、私なりに考えたことや学んだことを書きます。
コミュニケーションの問題に対して最良の解決策を示す
デザイナーは本来、コミュニケーションの問題を様々なメディアを通したデザインで治療する医師のようなものである。(中略)
それを発見し最良の解決策を示すのがデザイナーの役割である。
例えば、「ある製品の売り上げが年々落ちている」という問題あったとしたら、
製品によって「ダイレクトメール」を作成するのか、「Webサイト」を作成するのかなど様々な選択肢があると思います。
クラインアントに最良の改善策を示すには「本質を見極める力」と「知識の引き出しの多さ」が必要だと感じました。
デザインは押し付けであってはいけない
無印良品のコンセプトは
「無印良品がいい」ではなく「無印良品でいい」
世界のいろいろな場所で発見された「普遍性」、そして様々な文化の中で生まれる「これでいい」を収集し、
最も合理的なプロセスと透徹したデザインを通して商品を生み出し、それを世界に流通させていくという発想。
解釈の多様性を受け入れる求心力が核として存在し、それを好む人たちによってそこに様々な期待や思いが盛りつけられていく
あくまでユーザがどう感じてどう使うのかであって、ユーザーが交わってこそデザインであることを忘れてはいけない。
私はついデザインのためのデザインをしてしまいがちなので、この考えを常に持つことの大切さを感じました。
デザインの質とユーザーの質は比例する
日用品のリデザインや無印の「これでよい」は、ビジネスで求められるイノベーションやプロセス改善そのものであって、そこに芸術性(美的な感性)が重ねられている。
製品は顧客のレベルを体現するものであり、日本の顧客レベルが下がればそれは外からみて魅力などなくなる。
センスの悪い国で精密なマーケティングをやればセンスの悪い商品がつくられ、その国ではよく売れる。
センスのいい国でマーケティングを行えば、センスのいい商品がつくられ、その国ではよく売れる。
(中略)問題はいかにマーケティングを精密に行うかということではない。
その企業がフランチャイズとしている市場の欲望の水準をいかに高水準に保つかということを同時に意識し、ここに戦略を持たないと、グローバルに見てその企業の商品が優位に展開することはない。
これが問題なのである。
確かにユーザーがとにかく安いも求めているからと、その要望に答え続けていたらデザインの質が下がる可能性が高いです。
一見、先ほどの「押し付けであってはいけない」という考えと矛盾しているようにも思えます。
しかし、両者の質が下がり続ける負のループが国内に蔓延することによって、国のデザイン力が低くなることを危惧しているのだと感じました。
情報の美「分かりやすさ」「独創性」「笑い」
デザイナーが情報に関与するポイントは「質」である。
(中略)そこで僕たちは「情報の美」という頂上へのアクセス・ルートとして次の三つの道筋を設定することにした。
それは「分かりやすさ」「独創性」「笑い」という三つのルートである。
■分かりやすさ
・情報の質の基本
・重要な価値・核心を誰もが摂取しやすい状態か
・冷静沈着にプロセスが構築されているか
■独創性
・誰もやっていない方法で情報を表現する
・興味を示し、感動し、尊重させる
■笑い
・極めて精度の高い「理解」
・内容の把握+別の確度から鑑賞させる余裕 = 笑いが生まれる
・パロディは一種の批評だが、笑いが生まれるのは、そこに深い理解が生まれている
この中で特に興味深かったのが「笑い」です。
確かに落語も同じ題材の話を深く理解して、アレンジして人を笑わせています。
お笑い芸人は早く頭の回転が早いと言われる理由が分かりました。
デザインとお笑いに「情報」という共通点があるという話がとても面白かったです。
まとめ
デザインのデザインを読んで、デザインとは何なのか。という事を改めて考えることができました。
特に「コミュニケーションの問題に対する最善策」を提案できるデザイナーになりたいと思いましたが、その為には
前々から課題としている「本質を見極める力」と「知識の引き出しの多さ」が大切だと思いました。
言うのは簡単で行動に移すことが難しいですが、、、
これからも精進して行きます。
では失礼いたします。
この記事を書いたライター
- ヨクスル株式会社